○阿賀野市職員等からの公益通報に関する要綱
令和7年7月23日
告示第163号
(目的)
第1条 この告示は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)及び公益通報者保護法を踏まえた地方公共団体の通報対応に関するガイドライン(内部の職員等からの通報)(令和4年6月1日付け消費者庁通知。以下「ガイドライン」という。)の趣旨を踏まえて、阿賀野市(以下「市」という。)において市及び市の職員についての法令違反行為等に関する職員等からの通報等を適切に取り扱うため、これらの通報等への対応手続に関する事項を定めることにより、通報者等の保護を図るとともに、市の法令遵守等を確保することを目的とする。
(1) 法令違反等 第8条第1項に規定する市及び市の職員による違法若しくは不当な行為又は市の法令遵守の確保及び適正な業務遂行に資する事実をいう(当該法令違反行為等が生じるおそれがある場合を含む。)。
(2) 職員等 次に掲げる者をいう。
ア 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する市の職員、同条第3項第3号に規定する臨時又は非常勤の特別職に属する市の職員及び同法第22条の2第1項各号に規定する市の職員(以下「職員」という。)
イ 市と契約関係にある事業者(市の公の施設における指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。)を含む。以下「取引先事業者」という。)の労働者
ウ 取引先事業者の理事、取締役その他の役員
エ 取引先事業者
(4) 受付 第4条に規定する通報・相談窓口(以下「通報等窓口」という。)に対してなされた通報、相談、意見又は苦情等を受け付けることをいう。
(5) 受理 通報等窓口に対してなされた通報について、調査又は是正措置を講ずる必要性があるものとして受け付けることをいう。
(6) 被通報者 その者が法令違反行為等を行った若しくは行っている又は行おうとしていると通報された者をいう。
(総括通報等責任者)
第3条 職員等から通報等窓口に対してなされる通報及び相談(以下「通報等」という。)への対応に関する事務を総括するため、総括通報等責任者を置くこととし、総務課長をもって充てる。
2 総括通報等責任者は、通報等への対応に関する規程類の整備、研修の実施、通報に関する調査の進捗等の管理、通報等を理由とする不利益な取扱いの防止その他通報等への適切な対応の確保に関する事務を総括するものとする。
3 総括通報等責任者は、前項に規定する事務を総務課に行わせることができる。
(通報等窓口)
第4条 市及び職員による法令違反行為等に関してなされる通報等を取り扱うため、総務課に通報等窓口を置くこととし、総括通報等責任者がこれを総括する。
2 通報等窓口は、次に掲げる事務を取り扱う。
(1) 市及び職員による法令違反行為等に関してなされる通報等の受付に関すること。
(2) 通報等窓口の通報等への対応についての意見又は苦情の受付に関すること。
(3) 通報者及び相談者(以下「通報者等」という。)との連絡調整に関すること。
(4) 課等との連絡調整に関すること。
(法令等遵守担当者)
第5条 課等の課長(局長を含む。以下同じ。)をそれぞれの課等の法令等遵守担当者とする。
2 法令等遵守担当者は、職員から通報等窓口になされた通報等の対応に協力するとともに、通報等を行った職員の保護の徹底を図るものとする。ただし、その課等の課長が被通報者に該当するときは、この限りでない。
(秘密保持及び個人情報保護の徹底)
第6条 通報等への対応に関与した職員(通報等への対応に付随する職務等を通じて、通報等に関する秘密を知り得たものを含む。以下同じ。)は、通報等に関する秘密を漏らしてはならない。
2 通報等への対応に関与した職員は、当該対応手続において知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。
3 通報等への対応に関与する職員は、通報等への対応に関する秘密保持及び個人情報保護の徹底を図るため、通報等への対応の各段階(通報等の受付、調査、是正措置及び通報者等への結果通知をいう。以下同じ。)及び通報等への対応終了後において、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 次に掲げる措置を講ずることにより、情報を共有する範囲及び共有する情報の範囲を必要最小限に限定すること。
ア 通報等の事案に係る記録・資料(通報等に係る情報を電磁的記録(電子的方式、電磁的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式でつくられる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)により管理しているものを含む。以下同じ。)を閲覧することが可能な者を最小限に限定すること。
イ 通報等の事案に係る記録・資料を施錠管理等すること。
ウ 新たな通報等の事案に係る記録・資料を作成する際は、必要に応じて、関係者の固有名詞を仮称表記にするよう努めること。
エ 通報等に係る電磁的記録を管理する場合には、操作・閲覧履歴を記録すること。
(2) 通報者等の特定につながり得る情報(通報者等の氏名、所属等の個人情報のほか、調査等が通報を端緒としたものであること、通報者等しか知り得ない情報等を含む。以下同じ。)については、被通報者及びその関係者に対して開示しないこと(通報等の対応を適切に行う上で真に必要な最小限の情報を、次号に規定する同意を取得して開示する場合を除く。)。
(3) 通報者等の特定につながり得る情報を、情報共有が許される範囲外に開示する場合には、通報者等の書面(電磁的記録を含む。以下同じ。)による明示の同意を取得すること。
(4) 前号の同意を取得する際には、開示する目的及び情報の範囲並びに当該情報を開示することによって生じ得る不利益について、通報者等に対して明確に説明すること。
(5) 通報者等本人からの情報流出によって通報者等が特定されることを防ぐため、通報者等に対して、情報管理の重要性について十分に理解させること。
4 通報等窓口における通報等への対応に際する秘密保持及び個人情報の保護に関しては、前3項に定めるもののほか、個人情報保護に関する法令等に従うものとする。
(利益相反関係の排除)
第7条 職員は、自ら当事者となっている事案に関する通報その他の利益相反関係を有する案件についての通報等への対応に関与してはならない。
2 通報等への対応に関与する者は、通報等への対応の各段階において、相互に当該通報に利益相反関係を有していないか確認するものとする。
3 通報等への対応に着手しようとする者は、当該案件について自らが利益相反関係を有すると思料するときは、直ちに総括通報等責任者にその旨を伝えなければならない。
(1) 法令等に違反する行為に関する事実
(2) 個人の生命、身体、財産その他の利益に重大な損害を与える、又は与えるおそれのある行為の事実
(3) 市の法令遵守の確保及び適切な業務遂行に資する事実
2 通報等窓口は、通報等があったときは、法及びガイドラインの趣旨を踏まえ、誠実かつ公正に通報等に対応し、正当な理由なく通報等の受付又は通報の受理を拒んではならない。
3 通報等窓口は、匿名による通報等についても、可能な限り、実名による通報等と同様の取扱いを行うよう努めなければならない。
(受付手続)
第9条 通報等窓口は、通報等を受け付けたときは、内部通報受付票(第1号様式)に従い、通報等への対応に関する秘密保持及び個人情報の保護に留意しつつ、次に掲げる事項を通報者等に確認するものとする。ただし、通報者等の同意が得られない場合その他確認に支障がある場合は、この限りでない。
(1) 通報者等の氏名及び連絡先(電話番号、電子メールアドレス又は住所若しくは居所)
(2) 被通報者の氏名
(3) 通報者等と被通報者との関係
(4) 当該通報等事実の内容
(5) 当該通報等事実が生じ、又は生じようとしていると思料する理由
(6) 当該通報等事実について、法令に基づく措置その他適当な措置が取られるべきと思料する理由
(7) 通報等の内容となる事実の概要と関係する法令等
(8) 前号の事実を裏付ける資料、物件等の有無及びその名称等
(1) 通報等に関する秘密は保持されること。
(2) 個人情報は保護されること。
(3) 通報受付後の手続の流れに関すること。
3 前2項において、書面等、通報者等が通報等の到着を確認できない方法によって通報等がなされた場合には、速やかに通報者等に対して通報等を受領した旨を通知するよう努めるものとする。
(受理手続)
第10条 通報等窓口は、通報を受け付けた後は、法及びガイドラインの趣旨を踏まえて当該通報に関して調査又は是正措置を講ずる必要性について十分に検討し、市長に報告するものとする。
2 通報等窓口は、市長が当該通報を受理すると判断したときはその旨を受理しないと判断したとき(情報提供として受け付けることを含む。)はその旨及びその理由を、内部通報受理(不受理)通知書(第2号様式)により、遅滞なく通報者に通知しなければならない。
3 通報等窓口は、当該通報を受理するときは、当該通報への対応手続の終了までに必要と見込まれる期間を設定するよう努めるものとする。
(受理等の通知)
第11条 前条第2項の場合において、通報を受理する旨を通知するときは、通報等窓口は、当該通報を行った通報者に対して、通報者本人からの情報流出によって通報者が特定されることを防ぐため、通報者本人も情報管理に十分留意すべきことを併せて説明するものとする。
(調査の実施)
第12条 通報等窓口は、調査を実施し、又は指定する者に行わせることができる。
2 調査の実施に当たっては、当該通報に関する秘密を保持するとともに、個人情報を保護するため、通報者が特定されないよう十分に留意しつつ、遅滞なく、必要かつ相当と認められる方法で行うものとする。
3 通報等窓口は、市長に対し調査の進捗状況を適宜報告するとともに、調査が終了したときは、調査結果を可及的速やかに取りまとめ、その結果の理由を付して報告しなければならない。
4 通報等窓口は、適正な業務執行の確保及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がある場合を除き、通報者に対し調査の結果を遅滞なく通知しなければならない。
(調査の方法)
第13条 通報事実の調査に当たっては、通報者から面談、電話、電子メール等を通じて聴取を行い、通報事実の内容を把握し、当該内容を通報者等に提示して、内容に誤りがないか確認するよう努めるものとする。
2 通報事実の調査の過程で、市長その他幹部職員が関与する法令違反等が明らかになった場合は、調査に関する独立性を確保するため、必要に応じて、外部弁護士若しくは第三者委員会等のモニタリングを受けながら調査を行うものとする。
3 通報に関して調査又は是正措置を行う必要がないとして調査を終了する場合には、通報を受領したこと又は調査を実施したことについて被通報者の任命権者等に知らせないものとする。ただし、調査の実施の過程で、すでに任命権者等へ聴取を行っている場合は、この限りでない。
4 調査の端緒が通報等であることを他の職員に認識させないよう、事案の性質に応じて適切な措置を講ずるものとする。
(協力義務等)
第14条 通報等窓口は、通報事実の調査に当たり、法令等遵守担当者の協力が必要となる場合には、法令等遵守担当者と連携して調査を行い、是正措置を講ずるなど、相互に緊密に連絡し協力するものとする。
2 通報等窓口から調査の協力を求められた職員は、調査に誠実に協力をしなければならず、調査を妨害する行為をしてはならない。
(調査結果に基づく措置)
第15条 通報等窓口は、調査の結果、第8条第1項各号に掲げる事実があると認めるときは、速やかに是正措置及び再発防止策(以下「是正措置等」という。)を講ずるものとし、必要があるときは関係職員の処分を行うものとする。
2 通報等窓口は、通報対象事実が市長の事務部局以外の市の機関(以下「他の機関」という。)に関するものであるときは、他の機関の長に調査結果を報告するとともに、必要な是正措置等を講ずるよう要請するものとする。
3 前項において、他の機関の任命権者は、必要があるときは関係職員の処分を行うものとする。
4 第2項の規定により要請を受けた他の機関の長は、必要な是正措置等を講ずるとともに、その結果を通報等窓口に報告するものとする。
5 通報等窓口は、市長又は他の機関の長(以下「市長等」という。)が講じた是正措置等の内容について、利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に配慮しつつ、内部通報調査結果及び是正措置通知書(第3号様式)により、遅滞なく通報者に通知しなければならない。
6 通報等窓口は、是正措置等を講じた後、法令違反行為等を再発していないか、是正措置等が十分に機能しているか確認するとともに、必要に応じ、新たな是正措置等を講ずるものとする。この場合、他の機関の長は、新たな是正措置等を講じたことについて、市長へ報告するものとする。
(通報者等の保護)
第16条 市長等及び職員等は、通報等窓口に対し不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、通報等を行った職員に対し通報等を行ったことを理由として、懲戒処分その他不利益な取扱いをしてはならない。
2 前項における不利益な取扱いは、次に掲げるとおりである。
(1) 職員たる地位の得喪に関する行為(免職、辞職の強要、任期の更新拒否、本採用・再任用の拒否、休職等)
(2) 人事上の取扱いに関する行為(降格、降任、不利益な配置転換・転任・長期出張等の命令、昇進・昇格における不利益な取扱い、懲戒処分等)
(3) 経済待遇上の取扱いに関する行為(減給その他手当等における不利益な取扱い、不当な損害賠償請求等)
(4) 精神上又は生活上の取扱いに関する行為(事実上の嫌がらせ等)
3 通報等窓口は、被通報者が通報者等の存在を知り得る場合には、被通報者が通報者等に対して第1項に規定する不利益な取扱いを行うことがないよう、被通報者に対して、注意喚起をする等の措置を講ずるものとする。
4 通報等窓口は、通報等の対応の終了後、通報者等に対し通報等をしたことを理由とした不利益な取扱いが行われていないかを適宜確認するものとする。
5 市長等は、前項の確認の結果、不利益な取扱いが認められる場合には、通報者等を救済するための適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
(意見又は苦情への対応)
第17条 通報等窓口は、通報等窓口に対する通報等への対応に関して通報者等から意見又は苦情の申出を受けたときは、直ちに市長へ報告の上、迅速かつ適切に対応するよう努める。
2 前項の申出の内容が、通報等への対応に関する秘密及び個人情報の漏えい、通報に関する調査及び是正措置の遅滞、不適切な調査の実施その他通報等窓口の不適切な対応に関するものである場合には、市長は、速やかに対応状況を確認し、必要な是正措置を講じた上で、通報等窓口はその結果を通報者等に通知するものとする。
2 法令違反等に関与した職員等が自主的に内部通報した場合や調査に協力した場合、処分等を減免することがある。
(通報等の関連文書の管理)
第19条 通報等への対応に係る記録及び関連資料については、当該通報等に関する秘密保持及び個人情報の保護に留意して適切な方法により管理しなければならない。
2 前項の記録及び関係資料の保存期間は、処理が終了した日の属する年度の翌年度の4月1日から起算して10年間とする。
(法及びこの告示の周知等)
第20条 総括通報等責任者は、市における通報等への適切な対応を推進するため、通報等への対応に関する規程類を整備するほか、職員に対する広報の実施、定期的な研修、説明会の実施その他適切な方法により、法及びこの告示に基づく通報等の方法、通報等の取扱い、通報者等の保護の仕組み等について、十分に周知するものとする。
2 通報等窓口は、通報等の方法、通報等の取扱い、通報者等の保護の仕組みについて職員等から問合せがあった場合には、教示するものとする。
(通報対応の評価及び改善)
第21条 市長は、通報等窓口における通報対応の仕組みの運用状況についての透明性を高めるとともに、客観的な評価を行うことを可能とするため、通報対応の仕組みの運用状況に関する情報を、各年度の終了後、速やかに公表する。ただし、当該情報を公表することにより、通報に関する秘密保持及び個人情報の保護並びに適正な業務遂行の確保及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障が生じる場合においては、個々の通報事案ごとに、その全部又は一部を非公表とすることができる。
2 市は、通報対応の仕組みの運用状況について、定期的に評価及び点検を行うとともに、他の行政機関による先進的な取組事例等を参考として、通報対応の仕組みを継続的に改善するよう努めなければならない。
(他の法令等との関係)
第22条 通報等への対応手続については、他の法令等に特別の定めがある場合又はこれに基づく運用がある場合を除くほか、この告示に定めるところによる。
第23条 この告示は、職員等がこの告示に規定する者以外の職員に対し通報等を行うことを妨げるものではない。
(その他)
第24条 この告示に定めるもののほか、通報等の処理に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この告示は、令和7年7月23日から施行する。


