○阿賀野市みんなで支えよう「こころ」と「いのち」を守る条例
平成25年12月18日
条例第53号
豊かな自然環境の阿賀野市で、そこに住む市民一人ひとりが、心身共に健康で、「だれもが安心していきいきと暮らせる」ことが大切であると考えます。
しかし、全国的に自殺による死亡者数が高い水準で推移しており、阿賀野市においても、同様の傾向で推移しています。これは、経済背景や職場環境、家族関係の複雑さなどからのストレスが関連して、誰にも相談できないと感じながら悩み苦しんだ末の死であると考えます。
市民一人ひとりが、「こころ」と「いのち」を大切にし、悩み苦しむ人が孤立せず、家族や地域全体が、支え合えるあたたかい阿賀野市となるために、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、阿賀野市(以下「市」という。)の自殺対策を総合的に推進し、自殺防止を図り、もって市民が心身共に健康で、「だれもが安心していきいきと暮らせる」ことを目指して、市民やその家族、地域が共に支え合う社会の実現に寄与することを目的とする。
(自殺対策)
第2条 自殺対策は、次に掲げるように実施するものとする。
(1) 自殺が個人的な問題のみではなく、その背景に様々な社会的な要因が関与していることを踏まえ、社会的な取り組みとして実施されなければならない。
(2) 自殺には多様かつ複雑な原因及び背景が関与しているため、精神保健福祉の観点と合わせ、自殺の実態に即して実施されなければならない。
(3) 自殺の事前予防、自殺発生危機への対応及び自殺が発生した後又は自殺が未遂に終わった後の事後対応の各段階に応じた効果的な施策として実施されなければならない。
(4) 市民が地域で支え合う地域福祉の増進という観点を踏まえ、地域の実情に応じたきめ細やかな施策として実施されなければならない。
(5) 市、国、新潟県、医療機関、事業主、学校等教育機関及び自殺防止等に関する民間団体並びに市民等の相互の密接な連携の下に実施しなければならない。
(市の責務)
第3条 市は、国、新潟県及び関係機関と協力し、自殺に関する現状を把握し、自殺防止に関する対策を推進しなければならない。
(事業主の責務)
第4条 事業主は、自殺対策について関心と理解を深め、市及び関係機関と連携しながら、労働者の心身共に健康の保持が図れるよう、労働体制や環境の整備等適切な措置に努めなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、自殺対策について関心と理解を深めるとともに、一人ひとりが心身共に健康の保持が図れるよう、又は自殺防止に向けた取り組みを行えるよう努めるものとする。
(学校等教育機関の責務)
第6条 学校等教育機関は、自殺対策について関心と理解を深め、市、関係機関及び保護者等と連携しながら、児童・生徒・学生・教職員等が心身共に健康の保持が図れるよう、適切な教育及び指導に努めなければならない。
2 学校等教育機関は、自殺防止に向けて必要な調査や情報収集等に努めなければならない。
(名誉及び生活の平穏への配慮)
第7条 自殺対策の実施に当たっては、自殺者及び自殺未遂者並びにそれらの者の親族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、いやしくもこれらを不当に侵害することのないようにしなければならない。
(財政上の措置等)
第8条 市は、この目的を達成するため、必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
(基本的施策)
第9条 市は、この条例の目的を達成するために、自殺総合対策の推進にかかる行動計画を策定し、次に掲げる自殺対策に関する施策を講じるものとする。
(1) 自殺対策及び自殺防止に関する情報の収集と調査、整理及び分析の推進
(2) 自殺対策及び自殺防止に関すること並びに心身の健康保持に関する市民の関心と理解の増進
(3) 自殺対策及び自殺防止に関する人材の養成と確保
(4) 心身の健康の保持増進のための相談体制の整備
(5) 医療機関との連携体制の構築と整備
(6) 自殺対策及び自殺防止に関して関係機関や民間団体との連携体制の構築
(7) 自殺者及び自殺未遂者の親族に対する支援
(8) 自殺対策に関する活動を行う民間団体の当該活動に対する支援と協力
(9) その他、市長が必要と認めるもの
(自殺対策推進協議会の設置)
第10条 市は、総合的な自殺対策を推進するため、市民及び関係機関で構成する自殺対策推進協議会を設置するものとする。
附則
この条例は、平成26年4月1日から施行する。