○阿賀野市総合評価方式試行要綱
平成19年5月25日
告示第140号
(趣旨)
第1条 この告示は、阿賀野市が発注する建設工事において、工事の品質確保を目的として、価格に加えて入札参加資格者の技術力を総合的に評価して落札者を決定する方式(以下「総合評価方式」という。)に関し、必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 総合評価方式とは、価格のほかに価格以外の技術的な要素を評価の対象に加え、品質や施工方法等を総合的に評価し、価格と品質の両面から最も優れたものをもって申し込みした者を落札者とする方式をいう。
(型式)
第3条 総合評価方式は、当該工事の難易度や規模等に応じて次の3つの型式に区分する。
(1) 簡易型
技術的な工夫の余地が小さい工事で、施工の確実性を確保するため、簡易な施工計画や同種・類似工事の経験、工事成績等に基づき技術力と価格とを総合的に評価するものであり、当該工事の内容により次の2つに分類するものとする。
ア 簡易(実績)型
比較的小規模で、簡易な施工計画を求めず、同類・類似工事の経験、工事成績等に基づき技術力と価格とを総合的に評価するもの
イ 簡易(提案)型
簡易な施工計画(提案)や同種・類似工事の経験、工事成績等に基づき技術力と価格とを総合的に評価するもの
(2) 標準型
技術的な工夫の余地が大きい工事で、市が求める工事内容を実現するための施工上の技術提案を求める場合において、安全対策、交通・環境への影響、工期の縮減等の観点から技術提案を求め、技術提案に係る具体的な施工計画や同種・類似工事の経験、工事成績等と併せ、技術力と価格とを総合的に評価するもの
(3) 高度技術提案型
技術的な工夫の余地が大きい工事で、構造物の品質の向上を図るための高度な技術提案を求める場合において、強度、耐久性、維持管理の容易さ、環境の改善への寄与、景観との調和、ライフサイクルコスト(維持管理費、更新費)、補償費等の観点から高度な技術提案を求め、技術提案に係る具体的な施工計画や同種・類似工事の経験、工事成績等と併せ、技術力と価格とを総合的に評価するもの
(学識経験者等への意見聴取)
第4条 主管課・局・支所長(以下「主管課長等」という。)は地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)の定めによる段階において、学識経験を有する2人以上の者の意見をあらかじめ聴かなければならない。
(工事の選定、評価項目及び評価基準の決定)
第5条 総合評価方式による工事の選定に当たっては、次に掲げる基準により選定する。
(1) 簡易型を適用する工事
第3条第1号によることを阿賀野市請負工事等指名委員会(以下「指名委員会」という。)が適当と認める工事
(2) 標準型又は高度技術提案型を適用する工事
ア 総合的なコスト縮減に関する技術提案
入札者の提示する性能、機能、技術等(以下「性能等」という。)によって、工事に関連して生ずる補償費や維持更新費を含むライフサイクルコストを加えた総合的なコストに相当程度の差異が生ずると認められる工事
イ 社会的要請への対応に関する技術提案
環境の維持、交通の確保、特別な安全対策、省資源対策又はリサイクル対策等社会的要請への対応を必要とする工事であって、入札者の提示する性能等によって、工事価格の差異に比べて対策の達成度に相当程度の差異が生ずると認められる工事
ウ 工事目的物の性能、機能の向上に関する技術提案
入札者の提示する性能によって、工事価格の差異に比べて、工事目的物の初期性能の持続性、強度、安定性などの性能・機能に相当程度の差異が生ずると認められる工事
エ その他標準型又は高度技術提案型に適すると認められる工事
2 価格以外の技術的な要素の評価項目及び評価基準については、簡易型及び標準型又は高度技術提案型を適用する工事について、それぞれ阿賀野市総合評価方式施行要綱の運用基準(以下「運用基準」という。)により決定するものとする。
3 主管課長等は、工事の選定、価格以外の技術的な要素の評価項目及び評価基準の決定にあたり、学識経験者の意見を聴くものとする。
(審査及び評価の資料)
第6条 施工能力の審査及び価格以外の技術的な要素の評価については、簡易型及び標準型又は高度技術提案型についてそれぞれ次に掲げる資料により行う。
(1) 簡易型
ア 企業の技術力・地域貢献度確認資料
イ 配置予定技術者の能力確認資料
ウ 施工上の課題に対する技術的所見を記した簡易な施工計画
(簡易(実績)型については、上記ア及びイ、簡易(提案)型については、上記ア~ウの資料に基づき行う。また、上記ア~ウについては、「技術資料」という。)
(2) 標準型又は高度技術提案型
イ 発注者が標準として示した図面及び仕様書等(以下「標準案」という。)の内容について、標準案と同等又は優れた技術提案及び当該技術提案に係る具体的な施工計画を記した技術提案書
(上記イについては、以下「技術提案」という。)
(技術資料及び技術提案の提出依頼)
第7条 総合評価方式を行おうとする場合、主管課長等は、入札参加希望者又は指名業者(以下「入札参加希望者」という。)に次に掲げる方法により技術資料及び技術提案の提出を求めるものとする。
(1) 制限付き一般競争入札、公募型指名競争入札及び簡易公募型指名競争入札の場合
入札公告等による。
(2) 通常型指名競争入札の場合
指名通知書による。
2 前項の場合において、主管課長等は次に掲げる事項を明示するものとする。
(1) 当該工事が総合評価方式の対象工事であること。
(2) 価格以外の技術的な要素の評価項目及び評価基準
(3) 総合評価の方式及び落札者の決定方法
(4) 技術資料及び技術提案の作成、提出方法
(5) 受注者の責により提出された技術資料及び技術提案の内容が満足できない場合の措置
(6) その他総合評価方式を行う上で必要な事項(入札参加条件、無効条件等)
(技術資料及び技術提案の評価)
第8条 主管課長等は提出された技術資料及び技術提案に基づき、各評価項目を点数化し評価を行う。ただし、高度技術提案型については、必要に応じ別途委員会等を設け評価を行う。
2 前項の評価を行う場合においては、必要に応じ入札参加希望者等に対して事前にヒアリングを実施する。
3 ヒアリングは、主管課長等が関係者の出席を求めて実施するものとする。
4 各評価項目を点数化した得点の合計値(以下「加算点」という。)が零点に満たない場合又は簡易な施工計画や技術提案の内容が不適正な場合は、入札参加を認めない、指名しない等の措置を行う。
5 主管課長等は、技術資料及び技術提案の評価結果について、学識経験者の意見を聴くものとする。
(技術提案の改善)
第9条 主管課長等は、技術提案の内容の一部を改善することでより優れた技術提案となる場合や一部の不備を解決できる場合は、技術提案において、提案者に当該技術提案の改善を求め又は改善を提案する機会を与えることができる。この場合、主管課長等は、透明性、公平性の確保のため、技術提案の改善に係る過程について、その概要を速やかに公表するものとする。
(高度な技術等を含む技術提案を求めた場合の設計額)
第10条 主管課長等は、新技術及び特殊な施工方法等の高度な技術又は優れた工夫を含む技術提案を求めた場合には、経済性に配慮しつつ、各々の提案とそれに要する費用が適切であるかを審査し、最も優れた提案を採用できるよう設計額を作成することができる。
2 前項の場合、当該技術提案の審査にあたり、学識経験者の意見を聴取する。
(入札の実施)
第11条 入札参加者は、提出した簡易な施工計画又は技術提案の内容に基づく入札を行う。
2 低入札価格調査基準価格を下回る額で入札を行った者は、過去の工事成績により、必要に応じ加算点の減点を行う。
3 前項の減点により加算点が零点に満たなくなった場合は、当該社の入札を無効とする。
(総合評価の方法)
第12条 総合評価の方法は、価格以外の技術的な要素を価格で除した値(以下「評価値」という。)を比較する除算方式によるものとする。
2 除算方式による評価値は、標準点(100点)に技術資料及び技術提案に係る加算点を加えた技術評価点を入札金額で除して求めるものとする。
【除算方式】
評価値
=技術評価点/入札金額
=(標準点+加算点)/入札金額
3 簡易型及び標準型又は高度技術提案型を適用する工事について、それぞれ次に掲げる手順で評価値を求める。
(1) 簡易型を適用する工事
ア 簡易(実績)型の場合は、加算点が零点以上の者、簡易(提案)型の場合は、加算点が零点以上かつ簡易な施工計画の内容が適正と認められた者に、標準点(100点)と加算点を付与するものとする。
イ 標準点に加算点を加えた技術評価点を入札金額で除す除算方式により評価値を求めるものとする。
(2) 標準型又は高度技術提案型を適用する工事
ア 加算点が零点以上かつ技術提案の内容が適正(標準案と同等又は優れている等)と認められた者に、標準点(100点)と加算点を付与するものとする。
イ 標準点に加算点を加えた技術評価点を入札金額(補償費等の支出額等を評価する場合においては、入札金額にその費用を加算した金額をいう。)で除す前項の除算方式により評価額を求めるものとする。
(落札者の決定)
第13条 総合評価方式における落札者は、入札金額が予定価格の制限の範囲内にある者のうち、前条の方法によって得られた評価値が最も高いものとする。
2 評価値の最も高い者が2人以上あるときは、くじ引きにより落札者を決定する。
3 主管課長等は、総合評価方式に関する評価調書により評価の経過等を明らかにしておくものとする。
4 前項に規定する評価調書の様式については、別途運用基準で定めるものとする。
(技術提案等の担保)
第14条 提出された簡易な施工計画及び技術提案の担保として、その内容が満足できなかった場合に、簡易型及び標準型又は高度技術提案型を適用する工事について、それぞれ次に掲げる措置を講じるものとする。
(1) 簡易型を適用する工事
簡易(提案)型にあっては、簡易な施工計画書に記載された内容が、受注者の責により満足できない場合は、工事成績評点を減ずるものとする。
(2) 標準型又は高度技術提案型を適用する工事
性能等に係わる技術提案が受注者の責により履行できなかった場合で、再度の施工が困難あるいは合理的でない場合は、工事成績評点を減ずる措置を行い、併せて違約金の請求を行うものとする。この場合、損害賠償の請求を妨げないものとする。
(技術提案等の秘密の保持)
第15条 提出された簡易な施工計画及び技術提案については、入札参加希望者等の技術的財産であるため、公表しないものとする。
(技術提案内容の使用)
第16条 技術提案については、その後の工事においてその内容が一般的に使用されている状態となった場合、提案者に通知することなく市が発注する工事に使用できるものとする。ただし、工業所有権等の排他的権利を有する提案についてはこの限りでない。
(書類等の作成費用)
第17条 入札参加希望者等が技術資料及び技術提案書の作成に要した一切の費用は、入札参加希望者等の負担とする。
(評価結果等の公表)
第18条 総合評価方式を適用した工事において落札者を決定した場合は、速やかに次に掲げる事項を公表する。
(1) 入札参加者名
(2) 入札参加者の入札金額
(3) 入札参加者の各評価項目の評点及び技術評価点
(4) 入札参加者の評価値
(その他)
第19条 この告示に定めのない事項及びこれにより難い事項については、必要に応じて別に定めるものとする。
附則
この告示は、平成19年5月25日から施行し、平成19年5月1日から適用する。
附則(平成20年告示第131号)
この告示は、平成20年6月1日から施行する。